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【5】介護保険の基礎知識

(1)介護保険制度について

介護保険制度の目的は、要介護者がその有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう、要介護者・要支援者に必要な介護サービスについて、国民の共同連帯の理念に基づいて、必要な保険給付を行い、国民の保健医療福祉の向上を図ることです。

(2)介護保険法

介護保険法 第1章 総則

(目的)
第1条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。

(介護保険)
第2条 介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態(以下「要介護状態等」という)に関し、必要な保険給付を行うものとする。

 2 前項の保険給付は、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。

 3 第1項の保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行わなければならない。

 4 第1項の保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。

(3)介護保険制度における法令順守の考え方

介護保険制度は、40歳以上の国民から集めた保険料と公費(税金等)により運営する、公的な性格の非常に強い制度です。

このため、サービス提供を担う事業者は、基準を守った適正なサービス提供だけでなく、法令の自主的な順守が求められます。

(4)介護保険指定事業者に係る主な関係法令

【国】 介護保険法/介護保険法施行令
基準(省令) 基準について(解釈通知)
居宅サービス 指定居宅介護サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 指定居宅サービス及び指定介護予防サービスに関する基準について
予防サービス 指定居宅介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準
居宅介護支援 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について

【東京都】 
基準(条例) 規則 要領 
介護保険法施行条例
居宅サービス 東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例 東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例施行規則 東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例及び東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例施行要領
予防サービス 東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例 東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例施行規則
居宅介護支援 東京都指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例 東京都指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例施行規則 東京都指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例施行要領

(5)介護保険制度における法令順守のためのしくみ「業務管理体制」

【業務管理体制】

(ア)業務管理体制整備の届出

 平成21年介護保険法改正により、事業者による法令順守の義務と履行を確保し、指定取り消し事案などの不正行為を未然に防止するとともに、使用者の保護と介護事業運営の適正化を図るために、事業者に対し、業務管理体制の整備が義務付けられました。

 事業所数に応じて、@必要な体制を整備し、A所管の行政庁に届け出なければなりません。

(事業所数に応じて整備する業務管理体制)
届出事項/事業所数 事業所数
20未満 20以上100未満 100以上
法令順守責任者の氏名及び生年月日
業務が法令に適合することを確保するための規程の概要 ×
業務執行の状況の監査の方法の概要 × ×

(届け出先行政機関)
届出先区分 届出先 
事業所等が2以上の都道府県に所在する事業者 事業所等が3以上の地方厚生局管轄区域に所在する事業者 厚生労働省老健局
上記以外の事業者 主たる事業展開地域を管轄する地方厚生局
地域密着型サービス(予防含む)のみを行う事業者で、事業所が同一市町村内に所在する事業者 区市町村
上記以外の事業者 都道府県

●法令順守責任者について

 すべての法人において、介護保険法等の法令を順守するための体制の確保に係る責任者を選任することになります(資格は不要)。

 法務部門を設置していない事業者(法人)の場合は、事業者(法人)内部の法令順守を確保することができる者を選任します。

 代表者自身が法令順守責任者となることも可能です。

※初めて介護サービス事業所の指定を受けた法人は、業務管理体制整備の届出が必要です。

※事業所数の増加により届出先区分が変更になった法人は、変更の届出が必要です。


(イ)業務管理体制の監督

 行政は、業務管理体制の整備状況、事業者の不正行為への組織的関与の有無を確認する必要がある場合は、事業者から報告の聴取を受けたり、事業所の本部、関係事業所等の立ち入り検査を行うことができます。

(6)介護保険制度における法令順守のためのしくみ「指導監督」

【指導監督】

事業所の適正な運営の実施を確保するため、都・区市町村は指導監督を行います。

(ア)サービスの質の向上や適正な介護報酬の請求の観点から、健全な事業者の育成のための支援に主眼をおいた「指導」

(イ)指定基準違反・不正請求等に対する「監査」

「監査」の結果、改善すべき事項がある場合等は、以下の措置がとられます。

○「勧告」(行政指導)

○「命令」(行政処分)

○「指定取り消し、指定の全部又は一部の効力の停止」(行政処分)

○指定取り消しの連座制

(7)介護保険法「指定の取消し等」

(指定の取消し等)
第77条 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該指定居宅サービス事業者に係る第41条第1項本文の指定を取り消し、又は機関を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止することができる。

1 指定居宅サービス事業者が、第70条第2項第4号から第5号の2まで、第10号(第5号の3に該当する者のあるものであるときを除く。)、第11号(第5号の3に該当する者であるときを除く。)又は、第12号(第5号の3に該当する者であるときを除く)のいずれかに該当するに至ったとき。

2 指定サービス事業者が、第70条第8項の規定により当該指定を行うに当たって付された条件に違反したと認められるとき。

3 指定居宅サービス事業者が、当該指定に係る事業所の従業員の知識若しくは技能又は人員について、第74条第1項の都道府県の条例で定める基準又は同項の都道府県の条例で定める員数を満たすことができなくなったとき

4 指定居宅サービス事業者が、第74条第2項に規定する指定居宅サービスの事業の設備及び運営に関する基準に従って適正な指定居宅サービスの事業の運営をすることができなくなったとき

5 指定居宅サービス事業者が、第74条第6項に規定する義務に違反したと認められるとき。

6 居宅介護サービス費の請求に関し不正があったとき

7 指定居宅サービス事業者が、第76条第1項の規定により報告又は帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき

8 指定居宅サービス事業者又は当該指定に係る事業所の従業員が、第76条第1項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。ただし、当該指定に係る事業所の従業員がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該指定居宅サービス事業者が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。

9 指定居宅サービス事業者が、不正の手段により第41条第1項本文の指定を受けたとき

10 前各号に掲げる場合のほか、指定居宅サービス事業者が、この法律その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

11 前各号に掲げる場合のほか、指定居宅サービス事業者が、居宅サービス等に関し不正又は著しく不正な行為をしたとき。

12 指定居宅サービス事業者が法人である場合において、その役員等のうちに指定の取消し又は指定の全部若しくは一部の効力の停止をしようとするとき前5年以内に居宅サービス等に関し不正又は著しく不正な行為をした者があるとき。

13 指定居宅サービス事業者が法人でない場合において、その管理者が指定の取消し又は指定の全部若しくは一部の効力の停止をしようとするとき前5年以内に居宅サービス等に関し不正又は著しく不正な行為をした者があるとき。

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