会社の本店所在地と事業年度


【1】会社の本店所在地とは?


 会社法では、「本店の所在地」(定款に記載する)と「本店の所在場所」(登記すべき事項)を使い分けています。

 

「本店の所在地」とは、本店の所在する独立の最小行政区画(市・町・村を指しますが、東京都23区と政令指定都市では区)のことです。

 

「本店の所在場所」とは、設立登記において登記すべき事項であり、何県何市○丁目○番○号という、本店が現実に所在する具体的な場所のことです。


【2】本店所在地の決め方は?


定款で「本店の所在地」を定める方法は3つあります。

 

①最小行政区画まで記載する方法

 

・市 ー 県名と同一の市のときは県名を省略し、そうでないときは、都道府県名を冠記します。

・町・村 - 都道府県名と郡名を冠記します。

・東京都23区 - 区を単位とします。

・政令指定都市 - 市だけを記載します。(注)区まで定めた場合は②に該当します。

 

この場合、本店の具体的設置場所は取締役会等で定めます。

定款で定めた最小行政区画内の他の場所に本店移転するときに、定款の変更手続きが不要となります。

株式会社の場合は、株主総会を開催する手間を考慮し、①の方法をとる会社が多いようです。

 

②具体的所在場所まで記載する方法 

 

本店を移転するには常に定款の変更手続きが必要です。

中小企業の場合は、定款変更の手続が比較的簡単なので、②の方法をとる会社が多いようです。

 

③起番区域まで記載する方法

 

この方法はあまり取られていません。

 

※①の場合でも設立登記の段階では、具体的に確定している必要があります。


【3】事業年度の決め方は?


会社法により、株式会社の事業年度は1年を越えることができません。

 

事業年度は定款の任意的記載事項(記載しなくてもよい事項)ですが、例外なく定款に規定を置いています。

 

事業年度の定め方は、年1期の形がほとんどですが、必要に応じて年2期とすることもできます。

 

月初めから月末までとするのが通例ですが、月の途中から始まる形でも構いません。

 

比較的会社が忙しくない時期を選び、じっくり決算に取り組めるように決めるのがよいでしょう。

 

一般的には、4月1日から翌年3月31日までを営業年度とする会社が多いようです。

 

※法人の税務申告は決算日から2ヶ月以内です。

 

【まめ知識】

 

2月末に決算をする場合は、うるう年がありますので、「2月28日まで」ではなく「2月末日まで」と定款に記載します。