定款(原始定款)の作成と定款認証


【1】定款とは?


定款は、全ての会社に必要なもので、法律によって定款の作成が義務付けられています。

 

定款は、実質的には、会社の組織・活動を定める根本規則を意味し、形式的には、この根本規則を記載した書面を意味します。

 

会社設立の際に作成する定款を「原始定款」といい、公証人の認証を受けなければ効力を生じません。

 

また、公証人による定款の認証前であれば、発起人は定款の記載事項について削除・訂正・追加などの変更を自由にすることができますが、定款の認証後は、変更をするとあらためて定款の認証が必要になりますので、慎重に作成してください。


【2】定款の記載事項は?


定款の記載事項には、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の3種類があります。

 

■絶対的記載事項

 

絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項で、その記載を1つでも欠くか、1つでも違法である場合は、定款全体が無効となり、設立無効の原因となります。

 

例)目的・商号・本店の所在地・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額・発起人の氏名又は名称及び住所

※会社が発行する株式の総数(会社が発行できる株式の上限)は設立登記申請までに定款に定めればよい。

 

■相対的記載事項

 

相対的記載事項とは、定款に記載しなくても定款自体の効力に影響はありませんが、記載しないと効力を生じない事項です。

 

例)変態設立事項(現物出資・財産の引受け・会社の負担に帰すべき設立費用・発起人が受けるべき報酬、特別の利益)・全部の株式の内容について、譲渡制限、取得請求権付又は取得条項付の定め・種類株式の発行・株主名簿管理人・譲渡制限株式の相続人等に対する売渡請求・単元株式・株券発行・株主総会、取締役会及び監査役会招集通知期間短縮など

 

■任意的記載事項

 

任意的記載事項とは、定款に記載するかどうかは会社の自由とされている事項で、法令中の強行法規、公序良俗、株式会社の本質に反しない限り、自由に定めることができます。

 

例)株主名簿の基準日・株主名簿記載事項の記載等の請求・株券の再発行手続・定時株主総会の招集時期・株主総会の議長など

 

●合名会社・合資会社・合同会社の原始定款の記載事項

 

例)商号・目的・本店の所在地・社員の氏名住所及び出資・業務執行社員・代表社員・事業年度

 


【3】変態設立事項とは?


変態設立事項とは、株式会社の場合は、現物出資・財産引受け・会社の設立に帰すべき費用・発起人が受けるべき報酬、特別の利益のことをいいます。

 

これらの事項は、原始定款(会社設立の際に作成する定款)に記載しておかなければ効力がありません。

 

変態設立事項のいずれか1つでも定款に定められている場合の会社の設立を、「変態設立」といいます。 


【4】定款認証の手続きは?


★株式会社以外の、合名会社・合資会社・合同会社の場合は定款の認証手続きが不要です。

 

定款を作成したら、次は公証人役場で公証人の認証を受けます。

 

原則として発起人全員で行うことになっています。

 

会社の本店所在地を管轄する法務局又は地方法務局所属の公証人が行ないます。

 

1つの法務局又は地方法務局には相当数の公証人がいますが、会社の本店所在地を管轄する法務局又は地方法務局所属の公証人であれば、そのうちの誰から認証を受けてもよいことになっているので、最寄りの公証役場で行ってください。

 

【株式会社の場合(紙ベース)】

必要なもの 

■定款 

3通(コピー不可)

1通は公証役場に原本として保存されます。

1通は会社保存用の原本として還付されますので、会社で保存します。

1通は謄本として交付されますので、設立登記申請書の添付書類として登記所に提出します。

 

■発起人の印鑑証明書 

全員分

 

■収入印紙 

4万円 ← 電子定款認証制度を利用する場合は不要!

 

■認証手数料 

5万円

 

■謄本交付手数料 

1枚250円×枚数


【5】定款の認証を委任するとき


定款の認証は、原則として発起人または社員全員で行うことになっていますが、出頭できない理由があれば、代理人でも認められています。

 

代理人が必要なものは次のとおりです。

 

●委任状

 

●代理人の実印または認印

 

●身分を証明するもの(発起人の1人が代表者となって出頭する場合や代理人が公証人と面識がある場合は不要です。)